昔あって、今は、無くなってしまったもの
【 昔あって、今は、無くなってしまったもの 】
久しぶりに、「メディチ家の至宝展」を、やっている白金の「庭園美術館」に、いってきた。
前回は、確か、「オールドノリタケ」展で、行ったと思うが、その後、建物は、長期間、全面改修が行われており、改修後、初めてとなる。
どちらかというと、興味は、「メディチ家の…」より、旧朝香宮邸の改修後の姿を見たかった。
建物に入ると、以前より、明るくなっている気がした。真っ白な漆喰が眩しい。
展示品を見ながら、部屋を進んでいく。どの部屋も、本当に綺麗になっている。職人さんも当時の原型を研究しながら、作業を進めていったことは、すぐわかった。
が…。以前の建物とは、何か、違う、物足りなさのようなものを感じた。
何かが、無くなっている気がした。 一体、何なのだろう。
以前の建物にあって(あったように感じた?)、今は、無いもの。
ふと思った。
1933年に建築されて以降、外務大臣や、首相官邸、そして、迎賓館等に使われていたときの、人々の生活、暮らしの中で、造られてきた、使用されることによって、醸成されてくる…味…。
様々な人々が通り過ぎた空間。
骨董でいえば、人々が使用することによって、生まれてくる、使用感、時の流れとともに、醸成される、使用感、レトロ感。
失われた(と、思われた)もの、それは、「味」なのかもしれない。
H28.06.24