【喫茶店のアルバイト2】
ビルには、他に何件かの骨董屋さんも入居していました。
古伊万里や染付の器を専門に扱う、業界でも、有名な骨董店もありました。
(もちろん、ずーと後になって、何かのテレビ番組で知ったことですが)
他にも、掛け軸や墨絵、茶碗などの古美術を扱うお店、仏像や彫刻などの店もありました。
そういったお店に、 コーヒーやピラフの出前を持って、よく行きました。
今思うと、かなり高価な美術品や、貴重な骨とう品に接していたなと思い、その当時、もう少し骨董に興味があったら、眼力も鍛えられ、大いに勉強になったのにな、と、今更ながら、残念に思うこの頃です。
先日、近くを通ったので、店のあった場所に行ってみると、ビルは当時のまま、ありました。
古伊万里を扱う店もそのまま、ありました。もちろん、喫茶店はもうなくなってしまいましたが、
店の有った階段やアプローチは、そのまま面影が残っていました。
「マスター、ピラフ、一つお願いします(私)」
「もう、ごはん終わりだよ!(マスター)」
「えっ!さっき見たら、まだ電気釜にごはんありましたけど…(私)」
「あれは、明日の分だよ!(マスター)」
「 … (私)」
ふと、そんなマスターの懐かしい声が聞こえてくるような気がしました
(12月15日)