【喫茶店のアルバイト1】

西荻窪には、ご存知のように数十のアンティーク・ショップがあります。

私も、珠に、前を通ると、ついつい、店をのぞいてしまいます。

 

かなり昔の話ですが、私は、港区南青山の、とある喫茶店で、アルバイトをしたことがあります。同じビルにある骨董屋さんの経営する店で、店名には、石川県方面の窯のやきものの名が付いたお店でした。

 

骨董通りに面し、通りから、直接外階段を上がった2階に、店はありました。

店内には、テーブル席が、4つ、5つ。3方ガラス張りの店内は、外の坪庭を通して、いつも明るい光が差していました。 

 

窓には、真っ白なレースのカーテンと、重厚なビロードのカーテンが。

毎朝、花屋さんから、花が届けられ、テーブルの上のピンクのガラスの一輪挿しには、いつも、可愛い花が飾られていました。

 

店の奥のウインドウには、直径1mはあろうかと思われる大きな絵皿。テーブルの上の灰皿は、濃い緑と黄色の鮮やかな色合いの皿が、そして、ピラフの皿は、青い絵柄の30センチほどのお皿でした。

 

いま思うと、ウインドウの大皿は、「古伊万里の色絵の大皿」「灰皿は九谷焼か」「ピラフの皿は、古伊万里の染付、ひょっとすると江戸期の芙蓉手の尺皿では?」などと、おぼろげな記憶の中で、つい想像を膨らませてしてしまいます。 

 

 (続く)

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